フレックスなど複雑な残業計算はタイムレコーダーと勤怠管理システムの併用も検討しよう

最近では在宅ワークフレックスタイム制を導入する企業が増えていますよね。今回は、そんな多様化するワークスタイルに合わせた残業計算の方法について見ていきましょう。

 

タイムレコーダーだけでの残業計算が難しいケース

出退勤時間を記録するにはタイムレコーダーの導入がとても有効ですが、タイムレコーダー単体では、勤務時間の計算が大変なケースがあります。それが次の5つのケース。

 

 

1. 変形労働時間制

変形労働時間制は、所定労働時間を月・年単位で定める労働形態。時期によって仕事量が違う業種に多く採用される勤務体系です。

 

通常なら1日当たりの勤務時間が8時間を超えると時間外労働として扱わなければいけませんが、変形労働時間制をとっていれば、1日の労働時間ではなく一定期間(月単位、年単位)で計算し、週あたり(または1日当たり)の平均労働時間が枠内に収まってれば所定時間内労働とみなすことができます

 

この場合、残業時間の計算は1日単位ではなく、企業によって定められた一定期間(月単位、年単位)で判断することになるので、これをタイムレコーダーだけで対応するのは難しいといえますね。

 

 

2. フレックスタイム制

変形労働時間制と混同されがちなフレックスタイム制もまた、残業時間をタイムレコーダーだけで計算するのは難しい勤務体系です。

 

フレックスタイム制は、従業員が自分で始業時間と終業時間を決めるため、時間外労働は清算期間内の総労働時間で判断することになります。変形労働時間制と同様、その日ごとの勤務時間だけでは残業時間を判断するのが難しいと言えます。

 

また、フレックスタイム制の場合はコアタイムの設定完全フレックスタイム制かどうかによっても勤怠における遅刻、早退の扱いが異なってくるので、エクセルなどで集計するというのは計算式がかなり複雑になります。

 

 

3. シフト制

24時間の対応が必要な業種で多いのがシフト制です。シフト制の場合、時間帯によって始業時間、終業時間、休憩時間が異なるため、タイムレコーダーだけで判断するのは難しく、最終的に集計する段階で残業時間などをそのシフトに合わせて計算することになります。

 

多機能タイプのタイムレコーダーの場合、勤務時間の計算方法を登録できるタイプもありますが、複数のパターンを登録できるものは少ないのが現状です。

 

 

4. 短時間勤務

短時間勤務では、所定労働時間(フルタイムの場合は8時間)を原則として6時間にすることが可能です。しかし、この計算もまたタイムレコーダーのみでは難しい部分があります。6時間を超えての勤務は残業ということになりますが、法廷労働時間は8時間なので、6時間を超える勤務かつ、8時間以下の勤務については法内残業という扱いになります

 

超過分を給与として払うのではなく、他の日に短縮勤務をして相殺とする場合には、早退・遅刻扱いにしないように勤怠を管理することが必要です。

 

 

5. 雇用形態ごとに締め日が違う

勤務時間の計算以外にも、企業の中で雇用形態に応じて締め日が異なるケースもあります。正社員とパート・アルバイト、派遣社員では締め日が異なるという企業は多く、その場合、タイムレコーダーのみで管理するのは大変な作業です。

 

勤怠管理システムを使うことでできること

それでは、勤怠管理システムを導入することでどのようなことが可能になるのでしょうか?システムによっては対応していないケースもありますが、多くの場合以下のような対応が可能となります。

 

雇用形態ごとの設定

正社員やパート・アルバイト、派遣社員など雇用形態ごとに所定労働時間や締め日などの設定を行うことができます。他にも、短時間勤務の社員も設定で対応できることが多いです。

 

 

変形労働時間やフレックスタイムへの対応

管理画面で設定することで変形労働時間フレックスタイムに対応した集計が可能なシステムもあります。変形労働時間なら、所定労働時間を判断する期間を週・月・年から選べ、フレックスタイム制ならコアタイムの設定はもちろんのこと、完全フレックスタイム制で計算することも可能です。

 

 

シフトの登録

勤怠管理システムのなかにはシフト管理の機能を持つものもあり、勤務時間の計算だけでなく、シフトを組む作業を楽にする機能を含んでいるシステムも多くあります。シフトのパターンをあらかじめ登録しておき、そこからシフトを作成する機能や、従業員のシフト希望を募る機能、人員が不足している時間帯の確認ができる機能などもあります。

 

 

その残業計算、大丈夫ですか?

勤務体系や、就業ルールによって残業の計算方法は変わってきますし、端数の処理についても国からの通達で明確なルールが提示されています。

1カ月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること

通達(昭63・3・14基発第150号)

つまり、1ヶ月単位でなら端数の処理は可能ですが、1日単位で処理するのは違反になるということ。守らなければいけないルールは日々見直され、変わっていきます。

タイムレコーダー導入時は自社の就業ルールを見直す良い機会ですので、勤怠管理システムの導入も検討しながら、運用を考えていきましょう。