ASPって何?勤怠管理システムを導入するときに知っておきたい専門用語10選

勤怠管理システムの導入を検討していると、普段聞きなれない用語が出てきてよく分からない…ということはありませんか?今回は勤怠管理システムに関する専門用語を分かりやすく解説していきます。

システム導入を検討したいけれど用語が分からない…

勤怠管理システムの導入を考えているご担当者様の場合、「労基法」や「三六協定」といった労務に関するワードはよくご存じのはず。ただ、勤怠管理システムを検討するとなると労務に関するワードだけでなく、IT系のワードもよく出てきます。

 

ということで、今回は勤怠管理システムを検討する際に知っておきたい頻出の専門用語をご紹介します。

 

知っておきたいシステムの専門用語10選

1. クラウド・ASP

クラウドという用語はその名の通り「雲」のように実態がないように見える、インターネット上のサービス全体を総称した呼び方です。その種類は豊富ですが、勤怠管理システムに出てくるクラウドは狭義の意味で使われていることがほとんどで、インターネットを通してアプリケーションの必要な機能が利用できるSaaS(詳細は後述)の意味で使われます。

 

またASPという用語も、Application Service Provider(アプリケーションサービス提供者)の略で、インターネットを通じてアプリケーションやサービスを提供する事業者またはそのサービスのことを指します。

 

明確な違いはありませんが、クラウドと書いている場合は、Gmailのようにアカウント登録をし、ブラウザを使って設定を行うタイプが多く、ASPの場合は、まず事業者に問い合わせをし環境を準備してもらって初めて使用できるというケースが多いです。

 

前者の場合は会社単位でのカスタマイズが難しいため、無料お試し期間を活用して自社にあった運用ができるかをしっかりチェックする必要があります。お試し期間を通じて自社の運用に合わない箇所がある場合は、カスタマイズが可能か問い合わせをしてみましょう。

 

 

2. SaaS(サース)

クラウドの分類の1つでSoftware as a Serviceの略です。勤怠管理システムにでてくる「クラウド」とはこのSaaSを指していることがほとんどです。インターネット環境さえあれば、登録、利用ができ、支払いも人数に応じた月額制をとっているのが特徴です。Gmailをはじめとするフリーメールサービスや、Dropboxなどのウェブストレージサービスをイメージすると分かりやすいですね。

 

 

3. オンプレミス(パッケージ版)

クラウドという用語と併せて覚えておきたいのがオンプレミスという用語です。オンプレミスは、他社が提供する環境ではなく自社にサーバを構築し、そこにシステムを導入することをいいます。カスタイマイズが必須の場合や、自社システムとの連携が多い場合はオンプレミスでの検討が必要です

 

 

4. VPN

VPNとはVirtual Private Network(仮想プライベートネットワーク)の略です。社内の情報は機密情報を含むため、盗聴や改ざんのリスクがある公共のインターネット経由ではなく、閉ざされたネットワーク環境であるLAN(Local Area Network/ローカルエリアネットワーク)を利用します。しかし、これが本社と支社というように、建物が別になると専用線を使ってLAN同士を繋げる必要があります。

 

この専用線はセキュリティを確保できる反面、コストもかかるため大企業でないかぎりなかなか導入できないというのが難点でした。しかし、IT技術の発展により開発されたのがセキュリティの安全性を確保しつつ、インターネット回線や通信事業主のネットワークを利用して接続するVPNという技術です

 

専用線に比べて低コストで導入できるため、外出先から社内システムにアクセスする場合や、自宅でのテレワークで安全な通信を確立するためにVPN技術を採用するケースがあります。

 

 

5. データセンター

サーバなどのIT機器を設置して管理する施設のことを言います。オンプレミスでシステムを構築する際にネックとなるのが災害時の対策ですが、自社から離れた地域のデータセンターにサーバを設置することでそのリスクが軽減されます

 

クラウドサービスを利用する場合も、そのサービスを提供するためのサーバがサービス事業主のもとで管理されています。そのサーバを設置している場所もデータセンターと呼びます。災害時の対策を考慮するのであれば、データセンターが自社とは離れた地域にあるクラウドサービスを選ぶのも大事なポイントです。

 

 

6. 一元管理

一元管理とは複数のものを一ヵ所で管理するという意味合いを持つ言葉ですが、システム化についての話であれば、一元管理には次のような意味合いが含まれています。

 

  • システムごとに重複している情報を集約する
  • 複数のシステムで同じ情報を何度も手入力しなければいけない仕組みを一ヵ所に集約する
  • 集約した情報をまとめて検索・閲覧できるようにする

 

つまり、単に情報を一ヵ所に集めるのではなく、利用するための入り口も1つに集約することを示しているということですね。

 

 

7. FeliCa・MIFARE・おサイフケータイ・NFC

ICカードによる打刻機能を備えたシステムを検討するときに出てくるのが、ICカードの規格に関するワードです。

 

◆FeliCa(フェリカ)

日本で普及している規格で、Suicaなどの交通系ICカード、nanacoなどの電子マネーカードがこれにあたります。

 

◆MIFARE(マイフェア)

海外での普及率が高い規格で日本ではtaspoや社員証に使われています。

 

◆おサイフケータイ

スマホにFeliCaのチップを搭載することで、スマホによる電子マネーの利用やポイントサービスの利用を可能にしたサービスです。FeliCa規格のサービスの1つ。

 

◆NFC(エヌエフシー)

Near Field Communication(近距離無線通信)の略で10cmほどの近距離でかざすことにより、認証や通信ができる技術のことです。昔はFeliCaやMIFAREなどを総称してNFCと呼んでいましたが、最近は国際基準に対応した規格のことをNFCと呼びます

 

日本で普及しているFeliCaは日本独自の技術で、海外では対応していないため、NFC規格への統一が日本でも進められています。

 

NFCについては総称として使われている場合と、国際基準に対応しているという意味で使われている場合があるので、タイムレコーダーでNFC対応と記載されている場合はその対象の規格をしっかり確認しましょう

 

特にスマホをかざして打刻できる機能の場合、読み取りできるのはFeliCa規格だけの場合があるので、NFC TypeA/Bしか搭載していないiPhone6(s)の場合は対象外となってしまうので注意が必要です。

 

 

8. クロスブラウザ・マルチブラウザ

クラウド・ASP型の勤怠管理システムで多いのが、パソコンに専用アプリをインストールして使うのではなく、Webブラウザからアクセスする方式です。Webブラウザの種類は多く、IEをはじめ、GoogleChrome、Safari、Firefoxなど、それぞれのブラウザで表示のされ方や動作に違いがあります。

 

どのブラウザでも表示・動作が行われるようにコーディングすることをクロスブラウザ(マルチブラウザ)対応といい、従業員が利用するブラウザが特定しきれない企業の場合にはチェックしておくべき部分です。ただ、完全に全てのブラウザに対応するのは難しいため、IE10以前での動作は保証しない等、古いバージョンには対応していないことが多いので、導入時は対応しているバージョン情報をしっかり確認しておきましょう。

 

 

9. ライセンス

クラウド版やASP版の場合は、月単位で支払う形式(月額料金)が多いですが、オンプレミス(パッケージ版)や一部のASPサービスでは利用人数に応じたライセンス料を一括で支払う形式をとっています。

 

この場合、利用人数に合わせた金額で契約し人数が増えた場合は、別途ライセンス契約を追加することになります。ライセンス契約後はシステム会社が設定を行ってくれる場合もあれば、シリアルナンバーを発行してもらい、それを入力することでアプリケーションが利用できるという方法をとっている場合もあります。

 

 

10. マスターデータ・トランザクションデータ

情報システムを導入する場合に必ず出てくるのがマスター(マスターデータ)という用語。これはシステムの処理をするうえで基本となるデータで、社員情報(社員マスター)や商品情報(商品マスター)、経理の勘定科目(仕訳マスター)といったものです。これらのデータをあらかじめ登録しておかないとシステムを動かすことができません。

 

予め登録されているマスターとは違い、システムの処理によって蓄積されていくのがトランザクションデータです。システム上で申請を行えば、その申請に関わるデータができあがりますよね?それがトランザクションデータということになります。

 

言葉の意味が分からないときは迷わず聞くのが大事

今回は勤怠管理システムのお話をするときによく出てくる専門用語10選をご紹介しましたが、他にもシステム会社の担当者と話をしていると、「この言葉ってどういう意味?」と感じるシーンが多々あるかと思います。システム会社の担当者も、お客様に分かりやすいよう専門用語を使い過ぎないよう気を付けてはいますが、相手がどこまでの知識を持っているかはなかなか推し量れないもの。

 

ですので、分からない用語があれば担当者に気軽に尋ねてみてください。もしそこで嫌な顔をして説明をしてくれず、不安を覚えるようであれば他のシステムで検討し直したほうが良いでしょう。システム導入は入れてしまえば終わりではなく、その後も長いお付き合いになります。一度導入してしまうと、他のシステムに乗り換えるというのは簡単にいかないので、安心して任せられる相手かどうかの見極めも大事です。

 

 

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